「最近、なんとなく呼吸が浅い気がする」
「スマホを見る時間が増えてから、疲れやすくなった」
そんな感覚はありませんか?
スマホを見る姿勢が続くと首が前に出てしまい、いわゆる「スマホ首・ストレートネック」の状態になりやすくなります。
そしてこのスマホ首が、呼吸を浅くして、自律神経のバランスを乱す原因になっているケースがとても多いんです。
今回は
- なぜスマホ首が自律神経を乱すのか
- 体のどこで何が起きているのか
- まず何から整えていけばいいのか
このあたりを、できるだけやさしくお話ししていきます。
スマホ首・ストレートネックが増えると何が起こるのか
頭が前に出ると「呼吸が浅くなる」
スマホ首のとき、頭の位置は本来より前に押し出されたような状態になっています。
そうなると、シンプルに呼吸が浅くなりやすいんです。
理由のひとつが「肋骨(ろっこつ)の動きの制限」です。
- 頭が前に出る
- 上の方の肋骨(上位肋骨)が圧迫されるような形になる
- 胸郭(胸まわりのかご状の部分)がしっかり動かなくなる
- 結果として、呼吸が浅くなる
「呼吸大事ですよ」という言葉は、もう腐るほど見てきたと思います。
ただ実際には、呼吸を意識しようと思っても、そもそも肋骨や胸郭が動かない状態に陥っている人が本当に多いんです。
その代表例が、スマホ首・ストレートネックなんですね。
横隔膜の働きが悪くなる
スマホ首によって自律神経が乱れる要因の2つ目が「横隔膜(おうかくまく)の働きの低下」です。
横隔膜というのは、みぞおちの奥にある呼吸に関わる筋肉で、動物レベルの基礎的な働きをしてくれている、とても大事な筋肉です。
スマホ首になることで、この横隔膜の動きが悪くなる、という研究もあります。
横隔膜がうまく働かなくなると、深い呼吸がしづらくなり、結果として自律神経にも影響が出やすくなります。
迷走神経の働きが落ちる
3つ目のポイントが「迷走神経(めいそうしんけい)」です。
少し難しい話になりますが、迷走神経は
- 首からはじまり
- 肺や心臓を通り
- 横隔膜を抜け
- 胃腸にまでつながっている
という、かなり広い範囲をカバーしている神経です。
この迷走神経は、体をリラックスさせるうえでとても重要な役割を持っています。
スマホ首になることで、この迷走神経の働きが低下し、呼吸が浅くなる方向へと傾きやすくなる。
その結果、自律神経が乱れやすい状態につながっていきます。
ここまでをまとめると、
- 肋骨の動きが悪くなる
- 横隔膜の働きが悪くなる
- 迷走神経の働きが悪くなる
スマホ首・ストレートネックは、これらすべての要因に関わってくる可能性がある、ということなんです。
首だけじゃない。姿勢全体と体幹が深く関わっている
「頭を高く」「あごを引く」だけでは足りない理由
スマホ首やストレートネックというと、
「頭の位置を高くすればいい」
「あごを引けばOK」
こんなイメージを持たれがちです。
もちろん、それもひとつの意識として大事なんですが、実際のところはもっと「構造的」な問題が関わっています。
背中、お腹、いわゆる体幹の使い方がセットになっていることが多いんです。
なので、首だけを単体でどうにかしようとするよりも、
- 体幹がどう使われているか
- 姿勢全体のバランスはどうか
ここまで含めて見ていく必要があります。
反り腰・スウェイバックからスマホ首につながる流れ
具体的な例として「反り腰」や「スウェイバック」があります。
- 反り腰
骨盤が前に倒れて、腰が強く反っている状態。 腰がグッと反ることで、上半身が後ろに倒れやすくなる。 そのバランスを取るために、頭を前に落としてしまうケースが多い。 - スウェイバック
上半身が後ろに倒れ気味になり、同じように頭を前に落としてバランスを取っている状態。
こうした全体のバランス崩れがある結果として、スマホ首・ストレートネックが表に出てきている場合も多いんです。
首の問題単体に見えるかもしれませんが、評価をしていくと
- 反り腰を整える必要がある
- スウェイバックを直していく必要がある
- そのために体幹をうまく使えるようにしていく必要がある
といった「考え方の広がり」につながっていきます。
改善の第一歩は「胸郭をゆるめること」
「じゃあどうしたらええねん?」
ここが一番気になるところですよね。
すごくシンプルに、まずやってほしいのは
- 呼吸をしやすくするため
- スマホ首・ストレートネックを整えるため
この両方の意味も込めて、「背中をゆるめること」です。
特に、胸郭(きょうかく)のエクササイズにしっかり取り組んでみてほしいなと思います。
第1段階:肋骨を動かしやすくする
最初のステップとしては、
- 胸郭
- 肋骨
このあたりを少しでも動かしやすい状態にしてあげること。
いきなり完璧な腹式呼吸を目指すのではなく、
「肋骨がちゃんと動く土台」を作ってから呼吸のエクササイズに入るイメージです。
- 肋骨を動かしやすくする
- そのうえで、少しずつ腹式呼吸に慣れていく
こうした順番を意識してみてください。
第2段階:呼吸ができてくるとお腹が使えるようになる
胸郭が動きやすくなって、呼吸のエクササイズが少しずつスムーズにできるようになってくると、お腹がしっかり使えるようになってきます。
お腹が使えるようになると、
- スウェイバックの修正
- 反り腰の改善
- 骨盤まわりの安定
こういったところにもつながっていきます。
骨盤周囲が安定してくれると「土台」ができてくるので、
そのうえで
- 頭の位置をどう持っていくのが正解か
- 普段の意識として「頭を高く」保つ
- それとセットで「お腹に力を入れる」
こういった意識づけが、ようやく生きてきます。
自律神経の乱れで悩む人こそ「胸郭エクササイズ」から
スマホ首・ストレートネック、呼吸の浅さ、自律神経の乱れ。
このあたりで悩んでいる方は、まず「胸郭のエクササイズ」から始めてみてください。
姿勢と自律神経は、なんとなくつながっていそう…と感じている方も多いと思います。
実際には、
- 肋骨の動きの制限
- 横隔膜の働き
- 迷走神経といった少し難しい神経の問題
こうしたものが関わっています。
自律神経の不調で病院や治療院にかかって、
「家で深呼吸してくださいね」だけで終わってしまうケースもあるかもしれません。
でも、それだけだと正直かなり物足りないと、僕は感じています。
「呼吸をするためには、そもそも体をどう整えたらいいのか」
「ストレートネックを直すには、どこから手をつけたらいいのか」
ここまで深掘りして考えていくことが、体の機能改善にはすごく重要なんです。
まとめ:少しずつ体の「土台」から整えていきましょう
今回は、スマホ首が自律神経を乱す理由として
- 肋骨の動きが悪くなる
- 横隔膜の働きが悪くなる
- 迷走神経の働きが悪くなる
この3つを中心にお話ししました。
いきなり全部を完璧にしようとしなくて大丈夫です。
まずは、
- 胸郭をゆるめて肋骨を動かしやすくする
- そのうえで呼吸のエクササイズを少しずつ
- お腹が使えてきたら、姿勢全体や頭の位置の意識へ
こんな流れで、できるところから取り組んでみてくださいね。
スマホ首や自律神経の乱れで悩んでいる方でも、
体の構造や仕組みを知ったうえで、一歩ずつ整えていけば、ちゃんと体は変わっていきます。
ぜひ、今日お伝えした「胸郭のエクササイズ」から、コツコツ続けてみてください。

