最近、なんだか疲れが取れない。人と話すのがしんどい。理由はわからないけど、体が重い。
そんなふうに感じたことはありませんか？
もしかしたらそれ、自律神経の状態が関係しているかもしれません。
今回は「ポリヴェーガル理論」という、自律神経についての新しい考え方をお伝えします。聞きなれない言葉かもしれませんが、自分の体と心の状態を客観的にチェックするヒントになりますよ。
ポリヴェーガル理論ってなに？
ポリヴェーガル理論は、海外のドクターが提唱した自律神経についての考え方です。
医学的な話というよりは、「自律神経の哲学」に近いものだと思ってもらえるといいかもしれません。
通常、自律神経は「交感神経」と「副交感神経」の2種類に分けられますよね。交感神経は活動モード、副交感神経はリラックスモード。これが一般的な医学的分類です。
でもポリヴェーガル理論では、自律神経を3種類に分けて考えるんです。
自律神経を3つに分けるとこうなる
ポリヴェーガル理論で分類される3つの神経は以下の通りです。
1. 腹側迷走神経（ふくそくめいそうしんけい）
お腹側の迷走神経のこと。この神経が優位な状態は、コミュニケーションがうまく取れていて、メンタル的にもすごく健全な状態だと言われています。
ポリヴェーガル理論では、コミュニケーションと自律神経を結びつけて考えます。人とつながることで集団として守られ、心身ともに健康でいられる。そんな状態がこの腹側迷走神経が優位なときなんですね。
2. 交感神経（こうかんしんけい）
これは医学的な分類と同じです。いわゆる「バトルモード」ですね。
何かあったときに戦わなければいけない、そんなときに活発になる神経です。仕事に追われている、眠れない、ストレスが大きいなど、こういう状態では交感神経が優位になりやすいんです。
ただ、この状態ってエネルギーをすごく使います。ずっと続くと体への負荷がどんどん大きくなっていきます。
3. 背側迷走神経（はいそくめいそうしんけい）
背中側の迷走神経のこと。交感神経が優位な状態がいっぱいいっぱいになると、この背側迷走神経が優位になると言われています。
この状態になるとどうなるか。わかりやすく言うと、うつのような症状に近くなります。
人に会うのも嫌、しんどい、コミュニケーションがうまく取れない。内臓の機能も低下して、いわば「フリーズ状態」。クマに襲われたときに体が固まってしまうような、そんなイメージです。
今の自分はどの状態に近い？
ここでちょっと振り返ってみてほしいんです。
今の自分の状態は、この3つのうちどれに近いですか？
- 腹側迷走神経が優位：心身ともに健康で、人とのつながりも良好
- 交感神経が優位：なんだか常に緊張している、休めていない
- 背側迷走神経が優位：何もしたくない、フリーズしている感覚
僕がいつも言うように、どれが良いとか悪いとかではないんです。
もちろん腹側迷走神経が優位で生活できているのが理想的ではあります。でも、交感神経が優位な状態でも、うまくリフレッシュすればリラックスできます。
背側迷走神経が優位なときの回復方法
背側迷走神経が優位になっている、つまりフリーズ状態になっているときは、脳も内臓も筋肉もうまく働かなくなっています。
この状態の方も整体に来られるんですが、まず本当に大事なのは寝ること、食べることです。
生活習慣をとにかく整えていく。そして「回復できるんだよ」ということを体に覚えさせていくのがすごく大事なんですね。
リハビリのように少しずつ体を動かしたり、コミュニケーションを取りながら回復していく。それが背側迷走神経優位の状態から抜け出す方法です。
フリーズ状態は「体を守る反応」
ポリヴェーガル理論は、生きていくために自律神経がどう機能するかという考え方です。
フリーズ状態になっているのは、実は体を守ろうとする反応なんですよね。
「もうこれ以上頑張れない」「刺激に耐えられない」「限界なんです」——そうなったときに、脳や内臓、筋肉の働きを低下させて体を守っているんです。
交感神経のバトルモードも、戦えるエネルギーはあるけど、ずっとは続けられません。
まとめ：自分の状態を客観的に見てみよう
ポリヴェーガル理論を知っておくと、自分の今の状態を客観的にチェックしやすくなります。
「今の自分はどの神経が優位なんだろう？」
そう考えてみるだけで、対策や対処がしやすくなるはずです。
もし「自分はどれに当てはまるんだろう？」「この状態から改善するにはどうしたらいい？」と思ったら、ぜひ教えてくださいね。一緒に考えていきましょう。
