肩こりがつらくて、毎日のように肩甲骨はがしやストレッチをしている。
なのに、なかなかスッキリしない…
そんな経験はありませんか?
実は、肩こりの原因がすべて「筋肉の硬さ」にあるとは限りません。肩甲骨を安定させる筋力が足りないことで、かえって肩がこってしまうケースも多いんです。
今回は、あまり知られていない「前鋸筋(ぜんきょきん)」という筋肉と肩こりの関係についてお話ししていきますね。
前鋸筋ってどんな筋肉?

前鋸筋は、肩甲骨の内側から肋骨の側面にかけてついている筋肉です。
普段あまり意識することがないかもしれませんが、この筋肉には大事な役割があります。それは、肩甲骨を胸郭(肋骨)にしっかりと固定すること。
腕を上げたり、物を持ち上げたりするとき、肩甲骨は土台として安定していなければいけません。前鋸筋がしっかり働いてくれることで、肩甲骨がグラグラせずに動作ができるわけです。
前鋸筋が弱くなると何が起こる?
肩甲骨が不安定になる
前鋸筋の機能が低下すると、肩甲骨を胸郭に押しつける力が弱くなります。
その結果、肩甲骨が浮き上がったり(翼状肩甲)、動きがバラバラになったりする「肩甲骨運動異常(スキャプラーディスキネシス)」という状態になりやすいんです。
僧帽筋が代わりに頑張りすぎる

ここからが肩こりにつながるポイントです。
前鋸筋がうまく働かないと、体は別の筋肉で肩甲骨を安定させようとします。その代役を担うのが上部僧帽筋。首から肩にかけての、まさに「肩こり」で硬くなりやすい場所ですね。
つまり、前鋸筋がサボっている分を僧帽筋が必死にカバーしているわけです。
肩をすくめる姿勢になりやすい
僧帽筋が過剰に働くと、無意識のうちに肩をすくめたような姿勢になります。
この状態が続くと、僧帽筋は常に緊張しっぱなし。血流も悪くなり、慢性的な肩こりへとつながっていくんですね。
肩甲骨はがしだけでは解決しない理由
肩こり=筋肉が硬い=ほぐせばいい
こう考えるのは自然なことですし、実際にそれで楽になる人もいます。
でも、もし肩こりの根本原因が「前鋸筋の筋力不足」にあるなら、いくらほぐしても一時的な効果しか得られません。なぜなら、土台となる肩甲骨の安定性が改善されていないからです。
硬くなった僧帽筋をゆるめても、また同じように働きすぎてしまえば、すぐに元通り。
大切なのは、前鋸筋をしっかり使えるようにして、僧帽筋の負担を減らしてあげることなんです。
まとめ
肩こりに悩んでいると、「とにかくほぐさなきゃ」と思いがちですよね。
でも、前鋸筋の筋力不足が原因で肩甲骨が不安定になり、僧帽筋が頑張りすぎて肩がこっているケースも実際に多いんです。
柔軟性を高めることも大切ですが、それと同じくらい肩甲骨を安定させる筋力をつけることも重要。
ストレッチやマッサージで一時的に楽になっても、またすぐに戻ってしまう…という方は、一度「筋力」という視点から体を見直してみてくださいね。
体は変わります。焦らず、コツコツ続けていきましょう。

