「膝が痛い…でも原因は本当に“膝”だけ?」
そんな疑問を感じたことはありませんか?
実は、膝に痛みがあるとき、多くの場合で股関節や足首の動きが大きく関係しています。もちろん、膝にしかない靭帯や半月板の問題もありますが、現場では膝以外の関節が影響しているケースがとても多いんです。
今回は、臨床の経験と解剖学的な視点から、膝の痛みと股関節・足首の関係についてお話しします。
膝の痛みは「前・内側・外側」に分けて考える
膝の痛みは大きく3つの部位に分類できます。それが「前側」「内側」「外側」です。
それぞれで原因や対処法が異なるため、痛みのある部位によってアプローチを変えることが大切です。
内側の痛み:膝が内に向いていませんか?
膝の内側が痛む場合、よく見られるのが「2イントゥーアウト」という着地のクセです。これは、膝が内側に入り、つま先が外を向いた状態で地面に接地する歩き方のこと。
この状態が続くと、膝の内側にある靭帯や筋肉が引っ張られ続け、炎症を起こしてしまいます。
内側の痛みを改善するためには、まずこの膝のねじれを修正することが重要です。普段の歩き方を見直してみてください。
正面の痛み:お皿の下に違和感があるなら…
このタイプでは、膝のお皿の下にある「膝蓋靭帯」や、その奥のクッションの役割をしている「脂肪体」に負担がかかっていることがよくあります。
原因として多いのが、足首を上手く反らせない(背屈制限)、股関節が固くて足を後ろに引けない(伸展制限)、あるいは骨盤が前に傾きすぎている(前傾)といった身体の使い方です。
これらの要素が重なることで、太ももの前の筋肉にストレスが集中し、膝の前に痛みが出やすくなります。
外側の痛み:股関節の安定性がカギ
この場合は、筋肉の硬さやバランスの悪さが関係していることが多いです。
とくに関与しやすいのが、腸脛靭帯や太ももの裏の外側にある大腿二頭筋、そして股関節を安定させる中殿筋です。
中殿筋がうまく使えず、片足立ちでバランスがとれない人は、膝の外側に過剰な負担がかかりやすくなります。
膝が痛いとき、膝だけを見るのは不十分
繰り返しますが、膝の痛みの多くは“膝以外の関節”の動きやクセが関係しています。
骨盤の傾き、股関節の柔軟性、足首の動き、歩き方など、全体のバランスを見直すことがとても重要なんです。
変形性膝関節症など「構造的な問題」の場合は?
年齢とともに起こる変形性膝関節症のように、膝そのものに構造的な異常がある場合もあります。こういったケースでは、病院での検査や評価が必要になります。
ただし、レントゲンやMRIで異常が見つからなかった場合は、逆に言えば「体の使い方を整えるチャンス」でもあります。
まとめ:膝の痛みは「膝以外」もセットで見る
膝に痛みが出たときは、「とりあえず湿布」や「膝だけマッサージ」といった対応では根本解決につながりません。
以下の視点を取り入れてみてください。
・股関節や足首の動きはどうか?
・骨盤が前に傾きすぎていないか?
・歩き方にクセはないか?
そういった全体のバランスを整えることが、結果的に膝の負担を減らす一番の近道になります。
「どこを見直せばいいかわからない」「自分の歩き方に自信がない」そんなときは、早めにご相談ください!