今回は「過緊張が抗重力筋に多く見られる理由」と「その状態に対する施術でのアプローチ」についてお話しします。
やや専門的な内容も含みますが、わかりやすく解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください!
過緊張とは?
過緊張とは、筋肉や神経が必要以上に緊張し続けてしまい、うまく緩まなくなっている状態を指します。
例えるなら「足がつるような感覚」が体のあちこちに起きているようなもので、腰や首、肩の筋肉がずっと縮こまったままの状態になります。
この状態が続くと関節の動きが制限されたり、他の部位に負担がかかって体の使い方にクセがついてしまったりします。
なぜ抗重力筋に過緊張が多いのか?

抗重力筋とは、重力に抗して体を支えてくれる筋肉のことです。具体的には以下のような部位です。
・首・肩まわり(僧帽筋、肩甲挙筋など)
・背中(脊柱起立筋)
・お尻(大殿筋など)
・太ももまわり(大腿四頭筋など)
これらの筋肉は、姿勢を保つために常にある程度の収縮状態にあります。
筋肉の中にある「筋紡錘」というセンサーが伸び具合をチェックし、姿勢を自動で調整してくれています。
自律神経の乱れと過緊張の関係
過緊張が起きやすい背景には、自律神経の乱れがあります。
特に、交感神経が過剰に働くと筋紡錘の感度が上がり、わずかな刺激でも筋肉が「縮め!」という命令を出してしまいます。
これは、脳の「扁桃体」という不安や恐怖に関わる部分が過活動になっている状態でもあります。
このような状態では、筋肉が常に“逃げる・戦う準備”をしているため、余計に力が入り続けてしまいます。
ゴルジ腱器官の働きが弱まる
もう一つ重要なのが「ゴルジ腱器官」という、筋肉の腱の部分にあるセンサーの存在です。
本来は「筋肉に力が入りすぎているから緩めよう」というブレーキ役なのですが、交感神経優位の状態が続くとその働きも鈍くなります。
その結果、筋肉が緩まずにますます緊張が強まってしまうという悪循環が起きます。
施術でのアプローチ方法
・筋紡錘の働きを考えソフトな手技でアプローチ
筋紡錘は急激な伸張刺激に敏感なので、強く引っ張ったりせず、やさしく触れて緩めていくことが基本です。
・ゴルジ腱器官に対しては持続的な圧を加える
筋肉と腱の境目にある部分に、じんわりと圧をかけることで緩みの反応を引き出します。
・呼吸や迷走神経へのアプローチ
首から迷走神経に働きかけたり、深い呼吸を促すことで、自律神経のバランスを整えるようにしています。
さいごに
抗重力筋の過緊張は、単に筋肉の問題ではなく、自律神経や筋肉のセンサーの働きが複雑に絡んでいます。
強い刺激でほぐすのではなく、体の仕組みに沿ったアプローチが必要です。
セラピストの方はもちろん、セルフケアをしている方も、こうした仕組みを知ることで自分の体との向き合い方が変わると思います。
ぜひ参考にしてみてください!