今回は「大臀筋と広背筋のつながり」から考える腰痛の原因と、その対策についてお話しします。
腰痛に悩む方、施術者の方にとっても役立つ内容ですので、ぜひ最後までご覧ください!
大臀筋と広背筋は筋膜でつながっている
まず広背筋は骨盤から肩甲骨を通り、上腕骨に付着する筋肉で、腕を引く、体を反らせる、ひねるなどの動作に使われます。
大臀筋は骨盤から始まり、大腿骨の近くや腸脛靭帯を通って膝の外側に付着します。
この2つの筋肉は、筋膜を介して骨盤部で密接につながっています。
実際、僕がハワイ大学で解剖をさせていただいた際にも、教科書では別々に紹介されるこれらの筋肉が、現実には驚くほど密に接しており、ほぼ同じような繊維構造をしていたことに感動しました。
神経圧迫による腰痛の可能性|上臀皮神経に注目
腰痛の原因として、大臀筋や広背筋が硬くなったことにより、上臀皮神経が圧迫されているケースが少なくありません。
この神経は、腰椎から背中側へ走行し、広背筋と大臀筋の筋膜の隙間を通って皮膚の感覚を司る神経です。
・仰向けで寝ていると痛い
・前屈や体をひねると痛みが出る
このような症状が現れやすくなります。
姿勢と筋肉の使い方が影響する
上臀皮神経が圧迫される要因には、姿勢の崩れも深く関わります。
・反り腰の場合:腰椎の前弯が強まり、広背筋が過剰に収縮しやすくなる
・スウェイバックの場合:骨盤が後傾し、大臀筋の活動性が低下して筋肉が緊張しやすくなる
このような状態になると、広背筋や大臀筋の付着部周辺で神経が圧迫されやすくなります。
圧迫部位は「くびれのやや背中側」
上臀皮神経の圧迫による痛みは、背骨の真ん中ではなく、くびれの少し背中寄りの部分に感じることが多いです。
背骨から拳1個ぶん外側くらいの部位に違和感や痛みがある場合、この神経の圧迫を疑います。
ストレッチよりも“ほぐす”方が効果的
この神経が通る付着部付近は、ストレッチでは伸びにくい部位です。
骨に近いため、ストレッチしてもあまり効果が感じられないことが多いです。
そのため、テニスボールなどを使って、腸骨稜付近の広背筋と大臀筋の付着部をほぐすことがセルフケアとして有効です。
僕の施術でもまずはこの筋膜の緊張を緩めることから始めます。
痛みが落ち着いてから姿勢の調整や再発予防へと進んでいくのが基本的なステップです。
さいごに
大臀筋と広背筋は、筋膜でつながっているため、どちらか一方の緊張がもう一方や神経にまで影響を及ぼすことがあります。
特に、上臀皮神経の圧迫による腰痛は、見逃されがちですが意外と多いパターン。
腰の痛みが「真ん中ではなく外側」「くびれの背中側」にある場合には、ぜひ一度疑ってみてください。
ご自身でのセルフケアが難しい場合や、なかなか改善しない痛みがある方は、いつでもご相談ください!